アルゼンチン・エントレ・リオスと中国上海をつなぐもっとも短い経路はどこだろう？地球反対側、つまり対蹠点に位置する二つの地域を直線でつなぐと地球中心を通ることになる。監督が捕捉した、地球上の対蹠点たちのイメージは世界をみる我々の観点を完全に引っくり返してしまう。悠長なスパンとカメラワークで五感を刺激するこの作品は魅力的な万華鏡で地球を観察している。

 

コサコプスキー本人が‘コメディー’に分類した「静かにしろ！」（Tishe!）は史上最初の写真と見なされている「ニセフォール・ニエプス」の「ル・グラの窓からの眺め」から霊感を受けた作品である。1年間本人の部屋の窓から眺めた「サンクトペテルブルク」の町をとらえた監督は、時々我々はすぐ目の前のことを見落としてしるのではないかと問いかけている。そして、自身が目撃した日常の姿をありのままで、または、超現実的で抽象的な形で並べている。

 

幸せの意味を持つロシア語‘Svyato’はコサコプスキー監督が彼の息子を呼ぶ愛称でもある。生まれて初めて鏡をみる2才の「スヴィヤト」の姿を映し出しているこの作品で、 我々は、初めて外部の視線に映った自身の姿を発見した幼い子の驚異を垣間見ることが出来る。また、水面に映された風景とカーテンにおとされた影が重なり、人間の自我と言うのは何なのかについて深い心象を残す作品だ。

 

天才、革命家または狂った人…カリフォルニアの建築家「ユジン・チュイ」の独特な生き方と革命的な作業に注目したドキュメンタリー。彼は箱の形の建築を止揚し、自然物の構造を手本として、人間と自然が共存できる新しい建築デザインを見せてくれる。哲学なのか、建築なのか。「ユジン・チュイ」の奇異な建築世界に対する多様な視線たち。