１歳の息子・ジョエルが末期ガンと診断された。父・ライアンは息子の生きてきた姿を記憶にとどめるため、詩的で独創的なビデオゲームを作り始めた。 ゲームというバーチャルの世界と病と闘う息子の現実の世界が交錯しながら物語が進む。 ライアンの視線がビデオゲームという媒体を通して作り上げる新しい芸術と感動がこの作品の原動力となっている。心の奥底の体験を記録した興味深い証言である。

 

主人公・ブロインは、急成長を続けるアフリカ諸国と中国との貿易をしている。 コンゴ共和国で選挙キャンペーン用のＴシャツをある政党から大量に請けることができた。 しかし、納期に間に合わせることができずキャンセルされてしまった。ブロインはストックを抱え込んでしまった。他に売れる見込みのないＴシャツを保管するだけでも資金はかさんでいくばかりであった。 そこで彼は一計を案じ、次の２０１６年の選挙で反対陣営の政党が使えるようＴシャツの意味を変えることで売りさばこうと考えた。

 

嘘、詐欺、裏切りは、私達の生活の中ではごくありふれたものである。これらはニュースで取り上げられるほど大々的ものではなく、どこにでもあるものである 行動経済学者・デンエリエーリの研究結果から触発されたこの作品は、個人の経験談や専門家の意見、行動実験と試料を駆使して、「人はなぜ嘘をつくのか」をつきとめる。

 

２０１３年、“シチズンフォー”という情報提供者が、自分は情報局の高官であると連絡してきた。彼は、国家安全保障局（ＮＳＡ）が行っている無差別の個人情報収集を暴露したエドワード・スノーデンだった。 この作品は、スノーデンと接触できた数少ない貴重な映像とともに、ＮＳＡによって不法に侵害された個人の私生活が記録された機密文書を暴露している。

 

離婚おやじ・マリオ・サバは５０歳の誕生日を機に、念願だった世界旅行を決断した。 二人の息子を引き連れてポンコツ車で１５万キロの旅に出る。 このクルマは時速６０キロが限界であった。 旅の途中で予想もつかなかった問題が次々に起こる。 夢を追いかけるマリオの旅は「あなたは何でもできる」と耳打ちしてくれる。

 

６６歳から９８歳のお婆ちゃん達のバレボールチーム”The Optimists”（楽天家達）は、毎週欠かさず練習に明け暮れている。しかし、この３０年間試合をしたことがない。 今度こそ試合を、と決めたが、いざとなるとどこと試合をしたら良いのか皆目分からない。 そんな中、隣町にスウェーデン紳士たちのイケメンチームがあった。 もしあなたが歳をとることに不安を抱いているのなら、このお婆ちゃんチームの物語は必見である。

 

この作品は、我々が生きている現在の世界が実は世界の終りと背中合わせになっているということを、冷徹に表現した叙事詩であり、同時に冷戦のスリラーである。 主人公・スタニスラフ・ペトロフは、全面核戦争を寸前のところで食い止めた人物であった。 だが、この事実を知るものはほとんどいない。 それから３０年が経った。 世界を救った男はアメリカに向かった。そこで待っていたのは驚愕の場面であった。

 

爆弾、戦争、廃墟になった都市、喪服姿の泣き叫ぶ女たち。これが欧米メディアが映し出すイラクの現在の姿である。 この映像とオーバーラップされる現在の都市風景、奏でられる音楽、優雅な服を身にまとったバクダッドの男たち。 どうしてこんなことになったのか？ この作品の監督は、世界中に散らばって生きている彼自身の家族の物語を聞かせてくれる。

 

１９９０年、古生物学者・ピーター・ラーソンとそのチームは史上初めて最大で完全な姿のティラノサウルスを発見し偉大な功績を残した。 それから１０年間、米国政府、その影響下にある博物館そして地元先住民との間に巻き起こった紛争が続いた。また、他の古生物学者との間の争いが繰り広げられた。 ピーター・ラーソンとそのチームは、掘り出したティラノサウルスだけではなく、彼ら自身の自由を求めて闘わなければならなかった。

 

「今まで聞いたことのない音が聞こえてきました。とても怖かった」 ルス、マティン、トロド、ハインズ、アレックスそしてジャン。６人の老人は、幼いころに体験したナチの残虐行為について記憶をたどりながら語り始めた。 この作品は、鮮烈な映像と音響効果そしてリアルなアニメによって、第二次世界大戦の生存者へのインタビューが印象に残る。

 

フランス・リビエラに８９歳になるジャン・フランソアのクリーニング店がある。 建物の至る所に年月の痕跡が刻み込まれている。 ４５年続いた店もしいよいよ閉めるときが近づいてきている。 ただ淡々と自分の仕事を続けるジャン・フランソア。 このクリーニング店の日々を通して彼の人生が映し出される。